二宮和也のIt[一途]第1回 はじまり

彼がこれまで歩んできた一途。

これからの道しるべになる一途な想い。

今、ここにいる二宮和也ー

その瞬間の大切な"It"。


「海は嫌いなんだよな(笑)」
記念すべき連載のはじまりは、風の強い秋晴れのある日、横浜・大黒ふ頭にて。それは、きらきら輝く水面を見つめながらの第一声だった。
「だって、自分よりも大きいものとか、広い場所は苦手なんだもん(笑)。海よりも、押入れとか狭い場所のほうが落ち着くの。なんでだろうね?」
それでも海風を受けて、カメラマンと向き合うと静かに集中していく。
「撮られている時は、今、ここに、ふたりだけでいる感じがしてた」

何かが始まる時の彼はいつも、さりげなくそこにいて、いつの間にかその場の空気と溶けあっている。


「"はじまり"だからって気負いたくない。今回の『流星の絆』の現場に入る時もフラットだったなぁ。気合が入ってないわけじゃないけど、アジアツアーとか大きなことが同時に進行していたし、ドラマも大切な現場のひとつととらえられたのがよかった。自分が引っぱろうなんて思わなくても、みんなそれぞれの力が発揮できるんだよ。ただ、初めての共演者やスタッフとのコミュニケーションは自分から積極的に取るほうかな。ライバル役であっても、普段から会話することが自然になっていると芝居にもいい影響が出るから」

嵐になることが人生を変えるとは思わなかった


新作のゲームを開封する瞬間から、映画のクランクインまで。毎日、様々な"はじまり"がある。けれど、ニノの人生を動かした"最大のはじまり"は、やはり、嵐としてデビューが決まった時のことだ。
「でも、最初は嵐になるのが自分にとって大きいこととは思わなかった。99年当時は16歳だったけど、ドラマの現場をいくつか経験させてもらって、演じるより演出の仕事に興味を持っていた頃だったから。アメリカにでも行って演出家になる勉強をしようと決意してたら、その年の9月に突然、デビューを告げられて(笑)。デビュー後もしばらくはすぐに終わっちゃうんじゃないかと思っていたのに、気がつけば10年近く……。
当時は演出も本気でやりたかったんだよね。22〜23歳までに舞台の演出を1本やるのが夢だったけど、もう、25歳だよ。今は自分が出る側、演じる側の仕事が楽しいし、演じている時は脚本や演出には口を出さない。モノを作るのは好きだけど、ゼロから携わっていない仕事に後からあれこれいうのは好きじゃない。」

とはいえ、日々、数多くの仕事と向き合う中、個人的な好き嫌いもあるだろう。信頼して身をゆだねられる場も、そうでない現場もあるはず。


「大丈夫。人も仕事も好きはあるけど、年々、嫌いはなくなっているから。だって、ジャニーズだよ(笑)。あらゆる仕事をして鍛えられてきたから、今はどんな色も受け入れられるし、むしろ何でも受け入れられないなんてつまらないと思う。自分のやりたいことをやるのはラクだけど、Aに答えながら、同時にBやCも含めて表現するほうが、今の自分的には楽しい。演出してみたい気持ちも残っているけど、すぐじゃなくていいよ。今はここにいるのがいい」

思いがけない出会いが作った彼の道。大切な事のはじまりに、人は意外に気づかないのかもしれない。


「終わって見なきゃ、何が大事なはじまりだったかなんてわからない。人との出会いもそう。女の子は恋のはじまりを運命だと思いたがるけど、俺は思わない(笑)。恋愛っていつ、どこではじまっているかわからないし、どこかで知らない誰かに恋心を抱かれているかもしれないでしょ。
ただ、知らぬ間に始まっていた恋も自覚したら突っ走りたい。オレ、相手の子を置いていくくらいに突っ走れるからね(笑)。苦手でも仕事相手なら一緒にいるけど、恋愛相手はただ好きだけで一緒にいられる。シンプルな本能で動いているから楽しさも濃いんだろうし、悲しくてもそこから色気が立ちのぼったりする。だから、心が動いたら直に身をまかせたいし、はじまる時に終わりを考えたくもないよ。恋愛に限らず、コンサートもそう。あと何曲とかあと何本あるかなんて関係なくて、その瞬間、瞬間にピークを作りたいから」

「終わりなんて考えずに走りたい」と切に願うのは、終わりがあることを心のどこかで知っているから。


「何かが始まるって事は同時に、いつか終わりを迎えなきゃいけないことでもある。ドラマの撮影も、この連載もそう。だから、うれしいだけじゃなくてせつないよね。基本、人生は儚い。85歳まで生きられると思えば長いけれど、あと60回しか春夏秋冬を過ごせないと思うと短い。嵐もデビュー10周年っていうと長いようだけど、死ぬまで嵐でいられるとは思えないから、何回コンサートができるのか考えると全然足りない気がするし。でも、永遠はどこにもないとしてもね、すべては、ただ、その時、その場を楽しめたらいいな」


Kazunari Ninomiya

1982年6月17日、東京都生まれ。嵐のメンバーとして、個人としてメディアを圧巻。人気を高め続けている。撮影当日に、放送中の主演ドラマ『流星の絆』(TBS系・金曜PM10〜)の初回視聴率が発表され、なんと、21.2%という高視聴率!「個人的にはさほど気にしないけど、数字がいいと現場の空気が明るくなるからね」と静かによろこびをにじませる表情が印象的でした

MORE2009年1月号(11/28発売)

*Mami*

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