二宮和也のIt[一途]第11回 変わらない進化系

彼の一途を切り拓き、一緒に

歩んできた最も大きな存在――

嵐のメンバーについて、ニノが

一途に思い続けてきたこととは。


目がくらむほどの夜景を背に、ずっと歌を口ずさんでいた。聴こえないほど小さな声でも熱を帯びているのがわかる。話を聞く前から、数日後に始まる10周年のツアーをいかに楽しみにしているかが伝わってきた。
「わざわざ足を運んで観にきてくてるんだから、こんなに幸せなことはないよ。コンサートは、唯一、自分たちで作ってきた家庭菜園の野菜みたいなモノだから。それが求められて、広がっていくのは何よりもうれしい」

デビュー10周年記念と、それに合わせたツアーのために作られた新曲『5×10』。ニノが作詞を担当した。


「ほかのメンバーからもメールをもらって、まとめただけ。でも、自分なりにいろいろ考えたの。聴くほどに発見があって、歌ったり、観てもらうと、さらにグッとくる感じにしたくて。絶対入れたかった言葉のひとつが、"5人でいる。ずっといる"っていうところ。5人でステージに立ってこのフレーズを歌ったら、理屈抜きで感動するかなって。だって、実際、ずっと5人でいたわけじゃん。6人じゃなくてね(笑)」

たしかに、嵐がそろうと、いつも一緒にいる。取材や撮影の合間でも、自然と5人でいる。


「一年の半分近くはドラマや舞台でひとりの仕事だから、5人でいるときは、ずっと誰かとしゃべってるよね。特にリーダーは心が広いから、いつちょっかいかけても平気(笑)。『昨日焼き肉食べたんだけどさぁ~』程度の話しかしないけどね。仕事のことも昔は話し合ってたよ。『嵐の今後は?グループのカラーは?』なんてマジメに会議したこともあったけど、オレは『必要ないんじゃない?』って言ったの。わざわざ決めたら可能性を狭めることになるし、どうとらえるかは受け取り手の自由。オレたちが話す必要はないってことに、だんだん気づいていったんだと思う」

先月号のモアの嵐特集で、一列に並んだ5人の写真を見つめながら、「ホント、普通だねぇ」と笑った。

「アイドルって、もう少しチャラくてもいいのに、ワルそうな感じゼロでしょ(笑)。仕事はとにかくマジメでマイペースだし、奥手でクリエイターっぽい空気もあって。ひとりひとり見てて飽きない。一緒にいられるのは似てるからなのかなぁ。たとえば、潤くんは一見、前に出るキャラに見えるし、実際そうだけど、ほかのグループにいたらそれほどでもないだろうし(笑)。潤くんが一歩出たらオレらも一緒に前に出るから。嵐はそうやって前に進んできたんだよ」

ずっと変わらないからこそ、うわべじゃない進化ができる

「5人とも変わらないんだよね。外からの影響はたくさん受けて、成長はしてるだろうけど、本質が変わったわけじゃない。翔君のキャスターだって、ずっとやりたかったことが形になっただけ。リーダーの個展も相葉くんのバラエティーも、もとの自分を生かしただけだから、内面的な変化ではないと思う。実際に変わらないからこそ、嵐は今もああいう関係性を築けているんだろうしね。オレもなんにも変わっていないよ。変われないんじゃなく、変わりたくないの。変われないなら、今、もっと老けてるよ(笑)。心のどこかで、"変わらないことがすごいんだ"って、絶対、思ってる。時代に合わせて変わり続けるのも能力だけど、都合がよくコロコロ変わられると残念な気もするし。オレ、"変わらない進化形"を信じてるから。人は仕事も恋愛も、前に進みたいからこそ変わろうともがくけど、それが一概に正解とは言えないと思う。"変わらない強さ"ってあるでしょ。小田和正さんとかサザンとか、強いから変わらないのだろうし、変わらずにそこにいるから、上っ面じゃなく進化し続けてるんじゃないのかな。時間はかかると思う。いい時も悪い時も、自分を信じて変わらないままでいるのは大変なことだろうと思うけど……」

嵐がこれほどまでにブレイクする前、単身でハリウッド映画に出演した時も、今年、演技で大きな賞をもらった時も、ニノは一貫して「嵐の一員である自分」を主張していた。たしかに、変わらずそこにいた。

「自分たちが変わってないつもりだから、今、『嵐のチケットが全然取れない』って言われても、実感がわかないの。昔はけっこう余ってたのになぁって(笑)。時代は回り続けてるけど、オレたちはずっと本気だったから。ダメでも不器用でも、小さな会場でも大きな会場でも変わらずに、その時できることを本気でやり続けてきたし……それが嵐なんだと思う。そんなオレたちをいろんな人が見つけてくれて、バカだなぁって見守ってくれてることに幸せを感じる。それをいちばん実感するのがコンサートなんだよね」

数日後のツアー初日、いつもどおりの5人でニノはステージに立っていた。胸を張って、いい顔をして。


ずっと、5人でいた。

変わらずに、本気だった。

それが嵐なんだと思う。





Kazunari Ninomiya
1983年6月17日、東京都生まれ。ベストアルバム『All the BEST! 1999-2009』がミリオンセラーに。10年以上も濃密な経験をともにしてきたからこそ「メンバーのことで悩んだり考えたりしない」と言うニノ。「特に相葉くんのことはあらためて考えたことないもん。ジュニアの頃から一緒だし、家も近くて家族も知ってるし、今も同じチームで野球やったりしてるから。もう、あの子について考える必要性を全然感じない(笑)」

*Mami*

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