二宮和也のIt[一途]第3回 孤独と友達

二宮和也が進んできた"一途"。

誰にも触れられない"一途な想い"。

これまでもこれからも

大切にしたい"It"について。


撮影当日は、ドラマ『流星の絆』の収録がほぼ終了していた日だった。
「このドラマでは、もうやり残した事は何もないなぁ。毎回、これが最後でも構わないと思ってやってるけど、今回はなおさらそう思える」
でも一方では、何かが終わること、仲間と別れる寂しさもあるはず。
「全然。そもそも寂しいっていう言葉の意味がわからない(笑)」と、携帯電話をもてあそびながら話す。

草むらに転がる姿も、人なつっこい表情で突然、さめたセリフを言うところも、まるで猫のよう。


「最近、人とまともに会話していないから、携帯電話でも見ないと言葉を思い出せない(笑)。本当に友達とかいないからね。人なつっこく見えるとしたら、そういうフリをしているだけ。心の奥では、やっぱり人が苦手。だからといってひとりでいると、逆に相手に興味を持たれちゃうから、自分から先に近づいておくの。そうすれば、誰にも触れられない。適度な距離が保てるんだよ」

彼には、子供の頃からずっとひとりでいたという意識がある。


「学校の休み時間も、誰とも交わらずに、自分の机でマンガ読んだり、ゲームしたり。今も基本は変わらない。ひとりが好きだから、自分から人を誘って会うことがない。誘われたら行くけど、強要されるのは苦手。『何時になってもいいから』って言われても行きたくない時もあるしね。同世代の俳優仲間の飲み会に行ったこともあるよ。それはそれで楽しかったけど、俺は基本的に芝居について語らないからさ。みんなが熱く芝居について語っているのを、はしっこでトランプ持って聞いているだけ(笑)。みんなは芝居が大好きだけど、オレは究極のところ、お芝居って言うものに興味がないんだと思う。やっていても辛かったり大変なだけで、好きとか面白いとか思えないからね。それに人の芝居論を聞いても自分にぴったりハマるとは思えないし、人の芝居を借りて芝居するのもなんだかオレにはしっくりこない」

誰にも影響されない。その言葉も芝居もすべては、彼の内側から生まれている。ニノの世界が独特なのは、友達がいないからかもしれない。


友達かどうかは関係ない。

好きなら好きでいい


「なじみの店に自然と集まって飲む人たちはいるよ。高橋克実とかミッキー……東幹久とか、女性なら大竹しのぶさんとか。みんなかなり年上だけど一緒に飲んでて楽なんだよね。グダグダどうでも良い話ばっかりしてるから(笑)。芝居論も、年下の俺から振れば語ってくれるだろうけど、別に自分からは語らない。だからこそ、ああいう空気なんだろうな。それにしても、克実とは2ヶ月ぐらい連絡取ってないよ。こんなに連絡ないと、さすがにちゃんと生きてるか心配だな(笑)」

友達について語るとき、繰り返し聞かれることがある。それは「嵐のメンバーは友達か」ということ。


「聞かれすぎて困る(笑)。だって、友達って、何もしがらみがなくても連絡を取って合う存在のことでしょう。仕事がなければ、彼らとは出会ってないし、仕事がない日には会わないから。仕事帰りに一緒に飲むこともあるけど、それは同僚と飲みに行くみたいな感覚。仕事のない日にわざわざ電話がかかってきたら、『何かあったの?』って驚くし、めったにないからこそ話の種になる。だからといって、彼らが友達より大切じゃないわけじゃない。嵐のメンバーが仲がいいのは確かだし、今も5人で一緒にいられるのは理屈抜きですごいことだなぁって。10年前にグループを組む時、人数も組み合わせも可能性は限りなくあったのに、最終的にはこの5人でデビューできたことも、10年間一緒にやってこれたことも、本当に奇跡的なことで。その道のりとか関係性は、友達なんていう言葉では言い表せないんだよ」

本当に大切な人間関係は、きっと言葉にはできないのだ。言葉にしても意味がないとニノは言う。


「最近、好きなら好き、嫌いなら嫌いでいいじゃんってすごく思う。みんなそこを分析したり、定義したがるけど、オレは必要ないし、面倒だなって。だから、基本はひとりでいるし、ひとりが好きなのかも。
今までの25年間、やっぱり、友達はいなかったと思う。そう言うと寂しいヤツだって思うでしょ?でも、そうやって寂しいと思われることの方が寂しいよね……。ひとりは寂しい、友達は多いほうがいいって誰が決めたんだろう。ひとりでもいい、オレみたいな人間はソンする世の中だよね(笑)。ただ、こんなオレでも周囲の人たちにはすごく感謝しているんだよ。こんな性格だから、何かとみんな心配してくれるしね。いつも、ありがとうって思ってる。思ってるけど言わないだけ。この性格だからいいわけないでしょ(笑)。でも、ホントだよ」

Kazunari Ninomiya

1983年6月17日、東京都生まれ。嵐として、個人として多方面で大活躍。この日のインタビューは、カメラマン宅にて。冷えた体を温めようとガスストーブの前で寝転ぶ姿も、気まぐれな猫のよう。デビュー10周年となる2009年の抱負を聞くと、「とにかくライブをやりたい。オレはライブで育ったし、やらなきゃしょうがないよね」と、珍しく真顔で語る姿が印象的でした

MORE2009年3月号(1/28発売)

*Mami*

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