二宮和也のIt[一途]第4回 街

絶えず変わっていくものの中で

変わらないものがある。

二宮和也がたどってきた一途、

心に秘めてきた一途な思いを知るー。


通い慣れた東京・六本木の撮影スタジオ。その裏手にはまた新しいビルが建とうとしていた。
「六本木はどんどん変わっていくよね。13歳の頃からテレビ朝日のレッスン場に通っていたけど、あの頃は六本木ヒルズも何もなくて、夜になると真っ暗!夜道をひとりで歩くのすら怖かったのに(笑)。しばらくして、久々にあの道を通りかかったら、タイムスリップしたみたいにきらびやかになってたんだよね」

街は瞬く間に変わっていく。


「この間、神楽坂に行った時もそう。ドラマの撮影の時によく眺めていた路地裏の店がなくなったり、新しい建物ができていたりして驚いたなぁ。街が変わるのが寂しいって言う人がよくいるけど、じゃぁ、どれだけその街のことを覚えているんだろう?って思う。道も、建物も、風景も、ちゃんと覚えていないのに変化を寂しがるなんて、そんなの…」

ニノ自身が見つめてきた風景は、今も心の中に残っている。


「生まれ育ったのは、東京の下町。工業地帯で工場しかないから、あたりに光化学スモッグが充満していて"今日は家から出ないでください"って注意報が出る日も多かったの。アジア系の人も多くて、チマチョゴリで歩いている人たちを日常的に見てた。『パッチギ!』みたいな光景だけど、あんな風にお互いいがみあうこともなくってさ。学校にも街にも、いろんな国の人がいて、ごく自然に一緒に生活してた。今、思えばかなり不思議な下町だよねぇ(笑)。あの街だってどんどん変わってるよ。KAT-TUNの亀梨も同じ地元なんだけど、この間、音楽番組であったら『地元に陸橋ができてましたよね』って言うからさ、もう何年前の話だよ!ってツッコんじゃった(笑)。俺にとっては好きも嫌いもない街だけど、唯一、自分の意思で帰る場所ではある」

生まれ育った土地以外には、好きな街も、行きたい街もないという。


「でも、だからこそ、誰かに呼ばれればどこにでも行くし、それなりに楽しめる。最近は恵比寿とか銀座のマジックバーとか。去年は25歳にして初めて麻布のクラブにも行った。撮影帰りにお店でひとりで台本を読んでいたら、たまたま知り合いの人たちが飲んでいて、『ニノ、クラブに行こうよ!』って。拒否する理由もないからついていったけど……。驚きもないし、あまりにも音がうるさくてボンヤリしていたら、すぐにみんなとはぐれちゃって、ひとりで勝手に帰って来ちゃった(笑)」

新しい自分に出会いたいと思った時点でもう出会ってる


「知らない街に行きたいとか、新しい場所を知りたいっていう欲求が全然ない。子供の頃から旅が嫌いで、家族旅行の写真もしかめっつらばかりだった。ジャニーズjr.時代に地方公演に行った時も、ホテルの部屋にこもってたし。『夜は外出禁止』ってマネージャーに言われても、みんなは抜け出して街を歩きたがるんだけどね。オレはゲームしたりして、1度も外に出たことがない(笑)。そういえば、相葉君も全然出てなかったなぁ。大体オレたち2人は同じ部屋だったからさ。嵐の他の3人は、どうしてたんだろうね」

どこかへ行きたいと思わないのはどうしてなんだろう?


「徹底的にインドア志向っていうのもあるだろうけど(笑)。じゃあ、外の世界に出て何があるんだ?とも思う。自分はどこに行っても変わらないってわかっているからだろうね。新しい街へ行こうとも、広い世界に出ようとも、恋人ができようとも、影響受けたりしない。RPGが好きだし、海は嫌いだし、自分のために旅はしないと思う。もしも、新しい自分に出会いたいと思ったら、別に旅なんてしなくても、出会いたいと思った時点で、すでに出会ってるんじゃないの?新しい自分ていうやつにさ(笑)。それに、変わりたいなんて思わなくても、自然とどんどん変わっていくじゃん。周囲も、状況も、街の風景も……」

新しいドラマの撮影が始まり、役柄に合わせて久しぶりに短く髪を切りそろえた。その表情は心なしかすっきりとしているようにも見える。変わっていないと思っても、変わろうと思わなくても、いろんな事は少しずつ、少しずつ変わっていく。


「ドラマとか仕事で髪を切ることなんて、オレにとっては全然、何ともないことなんだよ。髪型なんて別にこだわりないし。でも、スタッフに『ドラマのために切ってくれ』って言われた時は、けっこう文句言った。なんかね、単純にブーブー言うのが好きなんだろうね。やっぱり、そういう自分が変わらない(笑)」
Kazunari Ninomiya

1983年6月17日、東京都生まれ。人気グループ「嵐」のメンバーとして活躍しつつ、俳優としての評価も高い。3/29には、スペシャルドラマ『DOOR TO DOOR』(TBS系)がオンエア。昨年末、携帯電話の公式サイトで4年間、毎日書き続けていたブログをやめたニノ。理由を聞くと「単なる近況だけじゃないモノを書こうと思っていたのに、最近はクオリティ下がってるなぁって。近況でもファンの人は喜んでくれるのかもしれないけど、悩みながらダラダラ続けるより、一度終わりにしたほうがいいかなって」とマジメな表情で語る、モノ作りが好きなニノらしい言葉が印象的でした

MORE2009年4月号 (4/28発売)

*Mami*

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