二宮和也のIt[一途]第7回 矛盾

少年のような鋭さや蒼さと、
僧侶のような穏やかな深さをあわせ持つ二宮和也のたくさんの顔は、ただ一途な一途から生まれている――。


"永遠の17歳"と呼ばれるには、思慮深い。優しくて穏やかなのに、あまのじゃく。さめているようで、素直で無防備な瞬間も見せる。彼に対して、どんなイメージを抱いている人も、鮮やかに裏切られてしまう。多くのギャップがニノの中にはある。

「矛盾だらけなんだよね。だから、誤解されることも多いし、生きるのも結構大変(笑)」

その発言には、ときどき刺激物が混入している。つい先日もバラエティ番組の中で"恋人の浮気はOK"と発言して周囲の人に驚かせていた。


相手の浮気を想像しながら恋愛するなんて不思議


「あー、あの台詞だけ聞けば、そりゃ誤解されるよね(笑)。テレビだし、時間も短かったし、しかたないけどさ……。あの時、本当に言いたかったのは、オレは相手の浮気を想像しながら恋愛なんてしないって言うこと。みんな傷つきたくないから、『もし、浮気されたら?』って考えて予防線を張っておくのかもしれないけど、それって信頼関係がない気がして寂しいよ。オレだってむやみに人を信じているわけじゃないし、人間は浮気するような弱い生き物だって知ってるけど、それでも、"つきあう"とか"結婚する"っていう形を決めるのは、新しい世界で新しい生き方を体験したいからじゃないの?お互いを信じきる関係を育てたくて、そうするんだと思うから……。少なくともオレは、傷つくことを前提とした恋愛はしない。」

いくつもの想いと意味を含んでいるニノの言葉は伝えるのが難しい。


「オレの言葉って、一見、ネガティブに聞こえるし、伝わりづらいよね。テレビだけじゃなく、雑誌でもそう。ときどき『こんなこと言ったっけ?』って思うことが書いてあったり(笑)。でも、気にしない。多少違っていても、オレの精神がそこにあるならいいかなって。それに、誤解されたり、波紋を呼んだりするのがわかっていても、面白いことが言いたくなっちゃう性質みたい(笑)。せっかくその場に呼んでもらっているんだから、盛り上げたいなって。それに、話を聞いてくれる側は質問が限られているわけじゃん。たとえば『今回の役柄は?』とか『好きな女の子は?』っていう質問が多かったり。そうすると、1+1=2みたいに、こっちも答えが決まっちゃうけど、そこをあえて3っていえば、相手も『なんで?』って聞ける。自分次第で話を広げられるなら、そうしたいなと思う」

その結果、「自分はどう見られてもかまわない。どんなイメージを持たれても気にならない」とニノは言う。


「イメージなんて自分でつくればいいものだしね。"永遠の17歳"っていうのも、学生役が多かったからだろうけど、オレが意識してそう見せてるわけじゃない(笑)。そもそも大人だからこそ、何が少年なのかわかるし、演じることができるんだと思う。何を発信しても受け取る相手によって抱くイメージは異なるものだから、どう見られてもかまわないし、こう見られたいという思いもないなぁ」

世界も自分のことすらも、いつもどこか俯瞰の視点で見ている人。


「なんでだろうね。どんなに楽しくても絶対にわれを忘れないの。去年の国立のコンサートでもそうだった。ラストで、テンションが上がりきったメンバーがぬれたステージに次々スライディングしている時も、オレだけはやらなかった。もし万が一、全員のマイクが壊れたら進行上やばいだろうなと、とっさに判断したから。俺だって飛び込みたい気持ちはあったけど……(笑)」

その強さと冷静さは、どこから生まれてくるのだろう。


「別に強いわけじゃない。もとは体力も気力も弱かったからね。子供の頃から家から一歩も出たくなかったし、ジャニーズのオーディションだって、親がお小遣いくれるって言うから行っただけで。みんなが踊っている間も、8割がた床に座ってたくらい、歌にもダンスにも興味がなかった。根っから家にこもっていたい人間が、こういう世界で仕事しているんだから……それがすでに矛盾?(笑)。たぶん、この仕事を続けていくうちに自然と鍛えられていったんだと思う。特に、ジュニア時代は大きいよね。いろんな先輩のコンサートについて、たて続けにいろんなフリを覚えていくうちに、体力も集中力もついた。だから、オレが本気でフリを覚えようとすると相当早いよ~。うちのリーダーみたいに、ひとつひとつの動きを自分のものにしているダンスとは違うかもしれないけど(笑)。今は歌も踊りも嫌いじゃない。好きとか得意ってわけじゃないけどね」

そう言いながらも、撮影中はずっとハナウタを歌っていた。やはり、"二宮和也"の8割は矛盾でできている。その矛盾の深さこそが、彼の魅力を生み、彼を強くもする――。

イメージは自分じゃつくれないもの。
他人にどう見られてもいいから、

その場を盛り上げたいと思ってしまう


Kazunari Ninomiya

1983年6月17日、東京都生まれ。嵐の新曲『明日の記憶/Crazy Moon~キミ・ハ・ムテキ~』が大ヒット中。取材の前日は、知りあいの人たちと野球をしていたという。「人数が足りなくて、ひとりでセンターとライトを守ってたから、めちゃくちゃ大変だった~!」と笑うニノ。「でも楽しかったんですよね?」と聞くと、「野球そのものはね。体を動かすのは嫌い……いや、嫌いだけど嫌いじゃない(笑)」。矛盾の多い彼には、"嫌いだけど、嫌いじゃないもの"が多いようです

*Mami*

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